歴史と武の神を祀る、日本屈指の神社 ― 鹿島神宮

茨城県鹿嶋市に鎮座する鹿島神宮（かしまじんぐう）は、日本の古代から続く歴史ある神社です。創建は神武天皇元年（紀元前660年）と伝えられており、まさに神話の時代から人々に崇敬されてきた格式の高い社です。

近代以前まで「神宮」と称されていたのは、伊勢神宮・香取神宮・鹿島神宮の三社のみであり、その歴史の長さと由緒は他に類を見ません。全国に約600社ある「鹿島神社」の総本社でもあります。

武の神を祀る聖地

鹿島神宮の御祭神は、武の神として知られる武甕槌大神（たけみかづちのおおかみ）です。古くは皇室や藤原氏の尊崇を受け、平安時代以降は武士たちからも厚く信仰されてきました。

この信仰の中からは、剣豪・塚原卜伝（つかはらぼくでん）のような人物も現れました。彼は、「生涯無敗」を成し遂げたとされ、宮本武蔵ですら成し得なかった無敵の武士として語り継がれています。

鹿島神宮は、古くから「鹿島立ち」という旅立ちの儀式が行われていた場所でもあります。人々はここで旅の安全を祈願し、各地へ向かって旅立っていきました。

そして十二年に一度、午年にだけ行われるのが、壮大な水上の神事「御船祭（みふねまつり）」です。武甕槌大神の御分霊を乗せた御神輿が船に載せられ、一の鳥居をくぐって水路を通り、千葉県香取市へ。香取神宮の神職の船団に出迎えられたのち、再び鹿島へ戻るという華麗な祭礼です。

この祭りは、鹿島神宮と香取神宮という東国の二大神社の神々の再会の儀式とも言われ、古代から続く絆と信仰の深さを感じさせてくれます。

鹿島神宮は、日本の歴史や神話、武士道に深く関わる由緒正しい神社です。神聖な空気に包まれた境内を歩けば、古代から現代まで続く人々の祈りの歴史に触れることができます。旅の安全や勝負運、心願成就を願って、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

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